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〔2024年2月特集〕最近話題の離乳法【BLW】って?基礎知識と具体的なやり方


子どもの食事の様子フリー写真

『BLW』を知っていますか?イギリス発の離乳法で、赤ちゃん主導で行うのが特徴です。最近、日本でも話題となっており、気になっている方も多いのではないでしょうか。
BLWとはどんなものなのか、どのように進めたら良いのか、基本的な知識や具体的な方法をまとめました。

BLWとは

手掴みで食べる赤ちゃんの写真
 B … Baby (赤ちゃん)
 L … Led (主導の)
 W … Weaning (離乳法)
これらの頭文字をとって、赤ちゃん主導の離乳法のことを『BLW』といいます。

「赤ちゃん主導」とは、食べる量、ペース、順番などを赤ちゃん自身が決める、ということです。
イギリスが発祥で、現在20か国以上に広まっており、日本でも注目されています。

BLWの特徴、従来の離乳食との違い

【特徴1】 離乳食のタイミングを赤ちゃん自身で決める

BLWは、赤ちゃんが自分の意志で食べたいと思うときから始めます。
家族の食べているものに手を伸ばすなど、食べ物に興味を持ったときが始めるタイミング。
親が離乳食開始の時期を決めていた従来のやり方とは異なります。
無理に食べさせようとしたり、食べるよう促したりせず、赤ちゃんの意志を尊重するのがBLWの特徴です。
赤ちゃん自身が食べ物に興味を持って、自ら食事をする、という過程を大切にしています。

【特徴2】 手づかみで食べる

従来の離乳食は、親がスプーンで食べさせますが、BLWは、赤ちゃんが自ら手づかみで食べます。
何種類か用意した食べ物の中から、赤ちゃんが好きなものを選び、自分のペースで食事をすることが特徴です。
食材の色や形を目で見て認識し、自らの手でつかんで手触りを知り、口に運んで味や香りを楽しむ。
このような経験が、食べる喜びを知るきっかけになると考えられています。
好奇心の赴くまま、つかんだものをぐちゃぐちゃにつぶしたり、口から出したり、食べ物で遊んでも大丈夫。
自分の意志で手指を動かし、食べ物の感覚を知ることで、赤ちゃんの心身の成長に繋がります。

食事中の赤ちゃんの写真

【特徴3】 初めから固形物を食べる

従来の離乳食は、10倍粥や裏ごしした野菜などから始めますが、BLWは、初めから固形物を食べます。
赤ちゃんが手づかみで食べることを大切にしているため、スティック状など手で持ちやすい形のものを与えます。

ピューレ状やスープ状のものだと、何の食材が使われているかわかりにくいですが、固形物なら、食材そのものの形や色を認識することができます。すりつぶしや裏ごしに慣れてしまうと固形物への移行が大変になることもありますが、初めから固形物に触れていればそのような心配もありません。
また、面倒な調理の必要がなく、離乳食の準備が負担にならないのも嬉しいポイントです。

具体的な進め方

3-1 いつから?

①生後6か月以降から始めるのが目安
消化器官や手先を動かす能力が発達してくるのが6か月頃です。それまでは、母乳やミルクのみで育てることをWHO(世界保健機関)が推奨しています。

②赤ちゃんが一人で座ることができるようになったら
赤ちゃんが自力で手を動かして食べるためには、まっすぐに座ることが必要です。
支えが必要な場合は、クッションなどを使用して体勢を整えましょう。

③赤ちゃんが食事に興味を持つようになったら
親が食べているものに手を伸ばすなど、赤ちゃんが食事に興味を持ち始めたときがBLWの開始時期です。
最初は食べることができなくても構いません。食材を手にしてから、実際に食べ始めるまで、数日から数週間かかることもあります。
始めるのも、進めるのも、赤ちゃんのタイミングとペースを尊重しましょう。

3-2 何から始める?食材や形状は?

離乳食の写真

加熱した野菜や肉や魚、トースト、おにぎり、パスタ、果物など、基本的には何でもOKです。
初期におすすめの食材は、茹でたにんじん、ブロッコリー、蒸したさつまいもなど。
赤ちゃんが手づかみしやすい形にしましょう。
にんじんやさつまいもは太めのスティック状、ブロッコリーは手に持ちやすい大きさの小房に分けます。
6か月頃はまだ握った手を広げることが難しいので、握ったまま食べられるような大きさ(握った手からはみ出るくらいのサイズ)にしましょう。
固さは、指でつぶせるくらいが目安です。固すぎても飲み込みにくいし、柔らかすぎても握りつぶしてしまいます。
つかみやすくて食べやすい、程よい固さのものを与えましょう。

3-3 どのように食べる?

親が食べさせることはせず、赤ちゃんが自分の意志で、手づかみで食べます。親は、食材があることを示すだけです。
赤ちゃんが食べたいものを好きに選べるように、3~5種類くらいの食材を用意して、赤ちゃんの前に並べます。お皿に盛り付けても良いですが、きれいにしたテーブルに直接食材を並べるのがおすすめ。その方が、食材のみに集中しやすいです。
家族の食事の時間に赤ちゃんも一緒に食卓を囲み、可能な限り親も同じものを食べるようにしましょう。赤ちゃんは、家族が食べるのを真似しながら、食べ方を学んでいきます。

BLWのメリット、注意点

<メリット>

  • 赤ちゃんの意志を尊重することができる
  • 手先を動かす力や、食材を咀嚼する力が発達する
  • 五感を使って食事を楽しむことができる
  • 親の離乳食作りの負担が減る

<注意点>

  • 母乳やミルクは今まで通り与える
    BLWでは、1歳までは母乳やミルクがメインの栄養源とされています。
    食べ物が食べられるようになってくると、自然と母乳やミルクの量も減ります。
    食事を進めるペースも、母乳やミルクの量も、赤ちゃんの意志に委ねることになります。
  • 窒息に注意し、小さくて固いものは避ける、丸いものは切って与える
    窒息の危険性が高いため、ナッツや豆などの小さくて固いものは避けましょう。
    ぶどうやミニトマトなどの丸いものは切って与えます。皮付きのソーセージや、滑りやすいキノコ類なども注意が必要です。
    (従来の離乳食と窒息の危険は変わらないことが研究でわかっています。)
  • しっかりと座らせて目を離さないようにする
    赤ちゃんが主導のBLWですが、親がしっかりと様子を見ていることが必要です。
    窒息に注意するためにも、食事中は目を離さないようにしましょう。
  • テーブルや床などが汚れる可能性がある
    食べ物を直接つかんだり、つぶしたりするため、服やテーブル、床などが汚れてしまうことも。
    長袖のエプロンを使用する、床にシートを敷くなど、洗濯や掃除がストレスにならないような対策をしましょう。
  • 塩分や砂糖の多いもの、加熱の不十分なもの、はちみつなどは避ける
  • 家族にアレルギーの人がいる場合や、赤ちゃんの健康や発達に心配がある場合は、かかりつけ医に相談してからBLWを導入する

まとめ

家族写真

子育てをしていると、「こうあるべき」という考えに縛られて苦しくなってしまうこともあるかと思います。
でも、親も子どもも笑顔でいられるのが一番。BLWのような柔軟なやり方を取り入れながら、無理せず親子で楽しく過ごせたら良いですね。

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